森町出身の惑星科学者

森町文化会館で『地球が危ない?〜宇宙からの視点で人類の未来を問う〜』と題した松井孝典氏の講演が行われる。
先日、図書館に行ったら松井孝典氏の著書がたくさんならんでいた。題名は宇宙、地球、人類などの単語が全てに入っていて、それもそのはず松井孝典氏は東大助教授 専攻は惑星科学。
図書館に松井氏のプロフィールと嬉しいコメントもあったので紹介します。

松井孝典氏 (まついたかふみ) 昭和21年森町戸綿生まれ。東大理学部、大学院卒。理学博士。NASA(米航空宇宙局)研究所を経て東大助教授。専攻は惑星科学。同61年、英科学雑誌ネイチャーに発表した地球の起源と進化についての新理論が世界中の注目を集める。環境問題などを含めた新しい地球学を提唱している。


緑の古里 いつまでも

僕にとっての古里と言えば、山があり、川があり、緑の中に街が広がる。わが森町のイメージだ。目をつぶれば、太田川の土手の景色が浮かぶ。戸綿にあった家のすぐ裏手が太田川で、しょっちゅう泳いだり魚を捕ったりしていた。
父は磐田出身で、戦争に行って、それから会社勉めで東京に出た。僕が生まれた昭和21年ころは、まだ東京が混乱していたし、母は体が弱く、三歳ころまで戸綿の母の実家で育った。後に僕たちも東京へ移ったが、小、中学校時代は休みごとに森町に帰っていた。だから遊び仲間はみんな森町にいた。この前亡くなったと聞いたが、一番の仲良しも近くの「牛や」と呼ばれていたいた家の子だった。
休みに東京から行く時は電車で六時間もかかったけど、森町へ着くまでワクワクしていた。袋井から森町までのチンチン電車が楽しみだった。田舎の道をゆっくり走って行ったのが本当に懐かしい。

子供心に戸綿から見る森の街は本格的な町という感じで、細い路地がいっぱいあって、映画館もあって、チャンバラ映画をよく見た。その影響で中学時代は剣道に凝り、日本一を目指した。秋の祭りもよく覚えている。山車がたくさん出てにぎやかだった。
今思うと町には文化が詰まっていた。祖父が亡くなった時の盆にも、夜は笠んぼこが来て幻想的だった。土地の文化が息づいていた。そんな自然と文化の中で、漠然と世界に名を残すような人間になろうと考えたことを覚えている。
現在は宇宙から地球のことを研究しているが、地球は人類にとっての古里で、山や川があって緑の中に人が住んでいるイメージだと思う。それはまさに僕にとっての森町だ。
最近、掛川で講演する機会があり、森町へ一時間ほど立ち寄ることができた。思い出の中より街は小さく見えたが、僕の「森町」は変わっていない気がした。土手から飛び込んだ太田川。強い日差しの下、麦わら帽子をかぶってセミ捕りに走った堤防。地元の人は、もっと開けた方がよいと言うかもしれないが、僕はこのまま残してほしい。開発が日本国中で進む中、この自然と静かな街のたたずまいを守り通せば、大変な価値が生まれるに違いない。
近い内にゆっくり古里を訪ねてみたい。


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